椎間板ヘルニア
椎間板ヘルニアとは
犬と猫の背骨は頚に7個、胸に13個、腰に7個あります。この背骨同士がぶつからない様にしてくれているクッション材を椎間板といいます。この椎間板を構成している物質が変化したり飛び出したりして、背骨の中にある太い神経を潰してしまうと、痛みが出たり、麻痺を起こしたりと様々な問題を起こします。8歳から10歳を超えてくると発生率が高くなりますが、ダックスフンドやビーグルなど軟骨異栄養性犬種と呼ばれる犬は、3歳から6歳と若いうちから発症することがあります。その他、外傷によっても起こります。
症状
軽い子は痛みのみの場合もありますが、足に力が入らなくなってふらついたりします。本当に酷い子になると、全く立ち上がれず、排尿や排便も自力でできなくなる為、ご家族の方の介助が必要になります。
痛みだけの場合でも、痛みが強いと丸くなってじっとして震えており、ご飯も食べず、トイレにも行かない子もいます。
診断
問診や、神経の検査やレントゲン検査などを行ないます。
当院では椎間板ヘルニアが疑われ、手術を考えられている方にはCTやMRIを取りにいって頂く事が多いです。
治療
【痛みのみの子】
6週間の絶対安静と、あまりにも痛みが酷い子には、ステロイドの点滴や消炎鎮痛剤を使う事があります。
またレーザー治療に通って頂く事もあります。
【麻痺のある子】
症状の軽い子なら上記と同じ治療を行なう事もありますが、麻痺の酷い子は手術が適応になります。100%改善する訳ではありませんが、内科治療のみで治療するより、歩ける様になる確立が高くなります。
手術は、神経の圧迫を軽減するため、椎間板が飛び出した部位の背骨の一部を削ったり、飛び出した椎間板物質を取り除いたりします。そのあと、しばらく入院してリハビリをしたり、レーザー治療を行ないます。
【症状がどんどん悪化する子】
普通は椎間板ヘルニアなら3日以内に進行が止まりますが、3日以上経っても進行が止まらず、急激に悪くなる子がいます。
このような場合、脊髄軟化症といって、はじめに圧迫を受けた部位から頭側にもしっぽ側にも神経が死んでしまう病気の可能性が
あります。この病気は現在治療法が無く、手術をしても大体7~14日くらいで亡くなってしまいます。
治療後
どの程度改善するかは病気の状況によって全く異なりますが、どの子も治療にはある程度の期間がかかります。
ただし再発も多いので、太らさない事、滑らせない事など、治療が終わってからもお家での注意が必要です。
おかしいなと思ったら
軽い痛みのみの子は、お家で安静にしているだけで症状が落ち着く事もありますが、麻痺の子は早く治療することで症状を改善させ
る確立が高くなります。特に痛みが完全になくなってしまう子は、痛みがなくなって24時間以上たってしまうと改善する可能性が格段に下がります。
また、神経の病気は原因が違っても症状が似通っている事もよくあります。
椎間板ヘルニアの他にも、背骨の骨折や脱臼、腫瘍、梗塞、炎症でも同じ様な症状が出る事があります。これをお家で判断するのは無理ですし、病院でもレントゲン検査や、場合によってはCTやMRI検査をお願いする事もあります。
おかしいなと思ったら、なるべく早く動かさない様にして来院して頂く事をお勧めします。